2024/6/5にショートセラーのスコーピオンキャピタルが日本の半導体関連メーカーのレーザーテックに狙いを定めて、会計が疑わしいなどとレポートを発表した。
リポートが伝わる前から漏れていた情報で、下落していた同社株は、5日の取引を7.5%安で引けていた。
前場の11時から30分間をかけて大きく株価が上昇する形を取ったが、引けは7.5%とズルズル値を下げていった。
レーザーテックの売買代金は首位で、過去5年間で約18倍超と急騰して日経平均株価で最も高いパフォーマンス企業でもある。
空売りファンドとは?
スコーピオンキャピタルとは何者なのか?というお話だが、個人単位では中々できないリサーチを行い会社の不正や不祥事を調べ上げレポートを書き、株を空売りしていくことを生業としたファンドである。
日本においては、相場操縦だとか、株価を上げていく行為に対して非難や規制をかけたりと、どちらかというと否定的な意見が多いが、海外では印象は違う。
企業の財務諸表を徹底的に読み込み、インサイダー情報にならない範囲で可能な限り情報を収集し、株価が割高な企業の株をカラ売りするとともに、詳細な分析レポートで一般投資家に警鐘を鳴らすの役割となっており、一種の番人という立ち位置で、非常に合理的で賢い集団であると考えてもらってよい。
2001年のエンロン倒産事件においても、エンロンの財務諸表を徹底的に分析し、デリバティブを利用した利益のかさ上げや、SPE(特別目的会社)を使った粉飾決算を見破ったこともあります。
日本においては、2016年8月に空売りファンドのシトロン・リサーチが売り推奨レポートを出して、ほぼ一貫して下がり続け、株価は下がり続け1/3程度まで落ち、現在は1/10程度の株価水準となっている。
当時ロボットブームの中でロボット会社であるサイバダインはちやほやと持ち上げられてた企業であるが、レポートの中では、技術と製品の成長率は壊滅的であるとか、投資家の無知や日本市場の株式に関する公開情報不足を逆手に取っている企業の実例であるとこき下ろしている。
勿論空売りファンドは当たることも外れることもあるが、アカデミックと言っていいほどの綿密な分析を行うところもあれば、若干大雑把で、乱暴な印象を受けるところまである。
空売りファンドではないが、オリンパスの事件は、雑誌のFACTAの調査によって暴露され、巨額の損失を飛ばしという手法で、損益を10年以上の長期にわたって隠し続けた末に負債を粉飾決算で処理しており、オリンパスの財テクは社長直轄であり、内容を知る者はごく一部に限られ、投資助言会社を介し行っていた事を最終的に認めている。
レーザーテックのショートレポート
今回レーザーテックのショートレポートには何が書かれているのか。
端的に言うと、棚卸資産の増減が売上⾼の規模と⽐較して正常ではないということを指摘しており、棚卸資産に関して売上原価をしかるべき時期に正確に計上せず不正な会計処理をしていると指摘している。
この辺りの会計処理については、監査法⼈が入っているので正しく監査をしていると想像するが、長く監査を実施している監査法人を解雇して、棚卸資産を人為的に操作しており、今後、棚卸資産と利益を詐欺⼿段で誇⼤に計上した事実が明らかになり、減損処理を⾏う事になるだろうと指摘をしている。
また、レザーテックの看板製品についてのヒアリング調査を行い、問題を抱えている商品かつTSMCやインテルをはじめとする主要な顧客取引先が憤慨しており、商品や開発に致命的な問題があるとも書いている。
この辺りは半導体の専門家ではないので定かではないが、裏付けとしての資料は載せている。
参考までに、彼らのHPは下記に記載しておく。このショートレーポートと過去のレポートも見ることが可能である。
過去の実績として、量子コンピューターを扱うIONQやクウォンタムスケープなんかも狙っている。
基本的にスコーピオンのレポートの信憑性は置いておいて、EVやバッテリー、SPAC等の大量にブームで資金が流れている注目企業を対象としているが、大量に資金が流れ込んでいる業種は詐欺的なおかしいことが起きても疑問ではないともいえる。
過去刺してきた企業群もトラブルにはなっているが、株価としてはひどいことになっている。
まとめ
ショートセラーは、常識にとらわれず、根本的なところから物事を調べていくので、新たな視点を与えてくれるのという点では、個人投資家としては素直に受け入れるべきである。
また、このショートレポートは個人投資家のみならず多くのプロ投資家も目にしている。
特に顧客からの資金を預かるファンドは、顧客への説明責任があるため、疑義が生じる企業の株を持ちたいと思わないというのが正直なところ。
このレーザーテックは、東証の中でも売買代金が上位の銘柄である中で、多くの人間が売買しており、今注目されている半導体装置の銘柄でもある。
勿論持たざるリスクがあることから、多くの投資家がポジションに組み込んでいる企業なだけに、ポジション削減は同然起きる事象であるのは容易に想像できるであろう。
特に機関投資家が扱う銘柄については、個人投資家の売買の影響度はほとんどないため、一般的なプロ投資家の考えの中で株価が推移する銘柄なので、個人的な解釈や思い込みで売買すると痛い目に合うので注意する必要がある。
オリンパスの事件も然りで、事前に情報が漏れていた中でGSが空売りをしていたり、直近のレーザーテックの株価の値動きを見ても今回も漏れていた可能性はある。
多くの個人投資家は、情報が不足している中での取引が前提になるので、決算書を細かいところまで見ていく力であったり、そもそも値動きの本質であったり、そもそもの取引の思考を変えて考えていくことは非常に良いと考えている。
改めてこのショートレポートの重さや、なぜ情報格差や不公平な環境でチャートを眺めて売買を行っているのか、改めて良い機会だと思うので、個人投資家自身でも真実を理解して、しっかり戦える場所や彼らの取引の模倣に近いもので、しっかり戦ってほしいと願っている。
私のところでも、限りはありますが、個人投資家でも可能なものはある程度は用意しているので、興味があれば問い合わせしてみてください。